静岡学園中学校・高等学校

静岡学園中学校 静岡学園高等学校

静学ブログ

2021年3月31日

SGT農業体験講座〜棚田で遊ぼう〜事前講義

 3月26日(金)、放課後の時間を利用しSGT農業体験講座〜棚田で遊ぼう〜事前講義が行われました。テーマは、『農と食の倫理-コロナ禍の時代をいかに生きるか』です。本講座は、主に次年度の農業体験講座に参加を希望する在校生を対象として毎年実施されている講座ですが、今年度は中学生が8名参加しました。講師は、静岡大学農学部名誉教授中井弘和先生です。中井先生は、清沢の棚田の再生を進める清沢塾の前塾長です。現在も稲の品種改良についての研究をされており、無農薬で稲を育てる自然農法を提唱され実践されています。

 先生は、食の原点は土に触れることであることを常々おっしゃられています。土から作られる様々な作物が育っていく過程を一緒に見守りながらその成長を手助けし最後にその恵みをいただくことが心や精神の成長に繋がるというお考えです。

 戦後、敗戦国となった日本は食糧の増産に励みましたが、その結果大量の化学肥料や農薬を使用しました。現在も先進国の中で農薬の使用量が最も多い国の一つが日本だと言います。見た目は美しく食欲をそそるような野菜も昭和20年代に比べると、ビタミンAやビタミンCの含有料が著しく減ってしまったものもあるそうです。その一例として先生は、ほうれん草をあげ、ビタミンAとCの含有量の低下ついて説明されました。それによると昭和29年を100%とした場合、平成12年にはビタミンAが21.3%にビタミンCが35%にまで減ってしまっているとのことでした。ビタミン豊富な『宝石野菜』と呼ばれる野菜の一つであるほうれん草もこれではまるで『貧血野菜』です。

 こうした野菜を作る上で欠かせないのが農薬です。日本は1平方キロメートルあたり13.2Kgの農薬を散布しています。日本の農水省が2009年に発表したデータによると、オランダは9.0kg、イギリスは3.5kg、ドイツは3.2kg、フランスは3.3kg、ノルウェーは0.6kgでアメリカは研究者である水野玲子氏のデータによると1.7kgだそうです。先進国の使用料から比べると、日本は農地面積が狭いにもかかわらず圧倒的に使用料が多いとのことでした。しかも日本ではEUでその使用が危険視されている有機リン剤のネオニコチノイド系農薬(イミダクロブリド、クロチアニジン、アセタミブリド、イミダクロプリド、ジノテフランなど)が使われています。EU諸国ではこれらの農薬のうち3種を2013年から使用禁止にしました。これは蜂やトンボ、雀といった野生生物が激減したことが原因です。日本でもミツバチの減少が報告されていますが、日本の農水省は農薬による影響を認めていません。また残留農薬も苺はやブドウなどEU諸国に比べると多く、苺は、EUが0.01ppmに対して日本は3ppm、ブドウはEUが0.01ppmに対して日本は5ppmという数値が出ています。またEUは2008年から農薬の空中散布を2008年から禁止したそうです。

 米も同様にコシヒカリを中心としたもちもちとした食感の米が好まれ作られるようになりました。しかしこれがアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を引き起こす原因を作っているとのことです。清沢の棚田では、明治時代に自然な品種改良によって生まれた旭と亀の尾を栽培しています。これらの米は食感があっさりしていてたくさん食べることが出来ます。しかもアトピー性皮膚炎を癒す効果もあるとのことです。
 
 本当においしい食物とは、心と体を癒す効果がある薬菜であるというのが、先生の基本的な考え方です。先進国で自殺率が高いことや発達障害と呼ばれる子どもたちが増えているのもこうした農薬まみれの野菜を摂取したり、アレルギーを招く食材を毎日摂取しているからではないでしょうか。

 最後にコロナ禍にあってかって当たり前であった生活が当たり前ではなくなってきているが、コロナ禍が収まり元の生活に戻ろうとすれば、また新たな危機が訪れるのではないかというお話もされました。自然を大切にする生活・社会を作らなければならないとおっしゃる先生のお話が印象的でした。

 さて、令和3年度の農業体験講座ですが、第1回は4月24日(土)に行われます。新入生の皆さんの中にもこのBlog記事を読んで参加してみたいと思った生徒もいることでしょう。4月12日(月)から教員室西側掲示版に参加登録表を掲示します。希望者は、教室掲示のチラシをよく読み、日程と時間を確認の上、参加登録表に必要事項を記入して下さい。定員は中高合わせて30名です。本校からバスで清沢の棚田に向かいます。交通費は無料です。あなたも土と触れ合ってみませんか。