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静学ブログ

2022年3月16日

SGT Global Communication 第4回 飯沼直樹先生との対話

 2月8日(火)、放課後を使いSGT教養講座 Global Communication 第4回 飯塚直樹先生との対話 -子ども食堂の現状と未来。子どもの居場所作りとSDGs。-が行われました。講師は、特定非営利活動法人静岡市子ども食堂ネットワーク理事長飯塚直樹先生です。今回はSGT教養講座として初めて対面とOn-lineを併用したHybrid講義となりました。

 ここ数年、ニュースやドキュメンタリー番組でも取り上げられることが多い子ども食堂ですが、静岡でも本業とは別にNPOを作り活動をされている方がいます。それが飯塚先生です。先生には、令和元年度に1度ご講演いただきましたがコロナ禍の今、子ども食堂はどのような運営がされているのか、気になることもあり、再びご講演いただくこととなりました。

 私たちは子ども食堂を「子どもの貧困率」が高い地域で行われている支援活動というイメージでとらえがちです。それゆえ子ども食堂を「子どもが一人でも安心して利用出来る無料または低額の食堂」で「子ども達に栄養を考えた手作りの食事を提供する」場とだけ思いがちですが、子ども食堂の役割は、それだけではありません。「みんなで食卓を囲む楽しさを感じたり、世代間の交流や、親同士のコミュニティーの場」を提供することでもあります。そのため「楽団による演奏会」や「三味線の演奏体験」「竹とんぼやけん玉遊び」などの経験や知識を子供たちに伝えたり、子どもたちが持ってきた宿題の分からない箇所を学生や教職員や塾講師の経験があるボランティアが教えたりする「学習支援」や、年齢を問わずさまざまな世代や立場の人たちと交流することで地域・社会との繋がりを持つことなどの「多世代交流」が行われています。

 飯塚先生は、静岡市内の小学校区に1つ子ども食堂を!」を目標にかかげ、NPO法人「静岡市子ども食堂ネットワーク」を設立し、「子ども食堂」の立ち上げ、開催、運営に対して、食材や運営費、保険、衛生管理、会場管理、広報等に関するサポート事業を行い、2021年現在、市内に14会場を展開しています。しかしコロナ禍にあり、現在は子ども食堂自体を休止している会場が多いとのことでした。その代わり弁当や食料の配給でコロナ感染対策を行って食の配給を行っている場合もあるとのことです。また飲食店が自社テント物件を会場として子ども食堂を開催するケースも増えているとのことでした。飯沼先生の主催する子ども食堂は、コミュニティー活動から個別のサポートを含めた活動へとシフトしているとのことでした。

 次に子ども食堂を行う主なグループと方向性についてお話してくれました。NPO団体が主催し貧困対策、地域活性、不登校支援、子育て支援を目的としているもの、地域グループが主催し地域活性、地域交流、地域子育て、地域貢献を目的としているもの、社会福祉協議会が主催し行政主導、地区社協・児童委員・民生委員が主体で地域福祉が主体となっているもの、教育機関が主催し大学・高校などが中心となり勉強支援・地域交流主体を中心としたもの、飲食店が主催し地域コミュニティー形成や貧困対策をしているもの、企業が主催し社会貢献のために実施しているもの、障害者・高齢者施設が主催し、地域交流、世代間交流、コミュニティー形成を目的としたものがあり、その方向性も異なるとのことでした。

 続いてマスコミが取り上げる子ども食堂の情報拡散の功罪についてお話されました。マスコミは、子ども食堂の情報を社会に発信し多くの人たちに子ども食堂の利点や意味合いについて伝えることが出来るが、子ども食堂を行うグループ別の方向性やゴールまで理解していないので各子ども食堂の目的を説明し切れていない、子ども食堂=貧困対策と言うイメージの伝え方が多く、現在においても子ども食堂=貧困対策と言う理解の高齢者を中心とした地域住民が多く、センセーショナルな伝え方・記事化をする傾向があることと指摘されました。

 こうしたことから飯沼先生は、子ども食堂の目的は一つではなく、その効果も一つではない、したがって運営の形も一つではないと言います。なぜなら地域や子育てが抱える問題は一つではないからだです。それゆえ地域が抱える問題や求められる効果を提供しながら運営側が無理せず長く続けられる枠組みを作ることが大切であると飯沼先生は言います。静岡子ども食堂ネットワークの方向性としては、「地域の子ども達と保護者・住民にとって喜ばれ必要とされるコミュニティー活動」を目指すとのことでした。

 またSDGsの17の目標のうち子ども食堂と融和性の高い目標-1.貧困をなくそう、2.飢餓をゼロに、3.すべての人に健康と福祉を、4.質の高い教育をみんなに、10.人や国の不平等をなくそう、11.住み続けられるまちづくり-をあげ、フードロスへの取り組みや少子化対策として子どもたちの環境をよりプラスに近づけ、相対的貧困などをサポートとしてマイナスの環境をゼロにしたいとおっしゃっていました。

 講義のあと、対面で受講していた生徒、On-lineで受講していた生徒との質疑応答の時間をとりました。対面で受講していた生徒の中には、自らボランティア団体を立ち上げ、活動している生徒もおり、高校受験で使えるような参考書などを寄付し子ども食堂とのコラボを実現したいと申し出てくれた生徒もいました。また飯沼先生からは、コロナ禍が終息したら本校の近隣の小学校でも子ども食堂を再開したいとのお話がありました。きっと本校のボランティア局の生徒の多くが参加してくれることでしょう。