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静学ブログ

2019年11月11日

SGT農業体験講座〜棚田で遊ぼう〜第8回棚田Tour

 11月2日(土)、SGT農業体験講座〜〜棚田で遊ぼう〜第8回棚田Tourが行われました。講師は静岡大学名誉教授中井弘和先生と清沢塾の方々です。今回は中学生が10名、高校生が5名参加しました。当日は、秋晴れで農作業には丁度よい気温となりました。

 10月12日(土)の第7回棚田Tourが台風19号の影響により中止となったため稲の状況が心配されていましたが、強い雨と風の影響で稲が横倒しになっており、しかも猪が電気柵をうまくくぐり抜けて侵入し、豊かに実った稲穂を食い尽くしたため今年は種籾となるわずかな稲穗を除いてほぼ全滅してしまいました。但し、幸いなことに9月に種蒔きをした蕎麦は、清沢塾の方が普段の収穫よりも10日程早く刈取りをしたこともあり、一部は猪に食べられたものの収穫することが出来たとのことでした。

 そこで今回は、男子はまず稲穂が食べられてしまった田の稲を鎌で刈り肥料とする作業を行うグループと辛うじて残った稲穗の刈り取りを行うグループに分かれて作業を行いました。刈り取り作業ののち、男子は、種籾となる稲穗の脱穀作業を行いました。足踏み脱穀機を使った作業は、なかなか面白かったようです。

 猪による棚田の被害について、農作業の前に中井先生はシェルドレイクの「形態形成場仮説」を使い、説明して下さいました。シェルドレイクは、「離れた場所に起こった一方の出来事が、他方の出来事に影響する(空間的相関関係)」し、それは「形態のみならず、行動パターンも共鳴する」という学説を唱えていますが、中井先生は、この考え方に従うならば、電気柵を上手くくぐり抜けて棚田を荒らした猪の知恵と技術はこの棚田周辺の猪のみならず、すでに日本全国の猪に伝わっているのではないか、そしてこのような被害はきっと今後増加するのではないかという興味深いお話をして下さいました。またダーウィンの説いた「進化論」の「進化」とは、生物の持つ「記憶」であり、生物は弱肉強食の関係の中でその記憶をもとに生き残ってきたが、人間は自然と共存し、「分け合う」ことによって生き残ってきた。農薬を使わず自然と共存し、「分け合うこと」を基本とする農業こそが未来の農業であるとおっしゃっていました。

 さて、女子は清沢塾の婦人部の方々のご指導で囲炉裏に火を起こし、野菜などの材料を切ってお昼の味噌汁を作ることに挑戦しました。火を起こすことから始める作業は、なかなか大変だったようです。しかしお昼には完成し清沢塾の方々と一緒に大変美味しくいただきました。
昼食時にも日本と世界の農業の違いについて中井先生からお話をいただきました。アメリカやヨーロッパでは農薬の使用量が日本に比べ遥かに少ないことや日本の農家がアメリカに比べどれだけ農薬使用量の基準が低いか教えていただきました。農薬まみれになった耕地はやがて荒廃し耕作放棄地になってしまうことを私たちは学び、化学肥料や農薬に頼らない農業をもっと広めるべきだという考え方が先生の主張です。今後、アメリカから遺伝子組み換え穀物や農作物がたくさん輸入されるようになり私たちに知らされないまま加工され、口にする機会が増えることを先生は大変心配されていました。

 今年は、棚田は私たちが食べられる程の収穫量はありませんでした。しかし種籾だけは何とか確保出来ました。一粒の麦が地に落ちて死ねばやがてそれは多くの実を結ぶように私たちはこの稲籾を来年の春にまた大切に育てていきたいと思います。